2019年6月29日土曜日

富士講碑のデザイン―北杜市



この区域にある6基の富士講碑の意匠は酷似している。
その意匠を並べてみると、センターに富士山の神である木花咲耶姫命、右に夫の彦火瓊瓊杵命、左に大山祇命が配置されているのが共通である。
神名に使われる漢字の違いはあれど同神なのは間違いない。また、参明藤開山※や小御嶽、亀岩を加えるものもある。
これだけ酷似した意匠の富士講碑が近隣の地域に群れるのは、同派又は同講社である可能性が高く複数のグループが活発に信仰活動を行っていたことを推測できる。その後、詳細に調査をすると(A)の台座と(B)の台座、及び北杜市須玉町比志そして北杜市須玉町江草に「丸文講」の文字があった。また、当村中ともあることから、それぞれの村が丸文講として連携していたことの証明になる。一方、(E)は?山講の文字、(D)は大我講の講紋がある。

※角行が唱えた明藤開山に、身禄が三尊を示す「参」の字を冠した御見抜(曼荼羅)。

(A)北杜市須玉町藤田1433
35.783073, 138.429807


彦火瓊々杵命 小御嶽大神
木花開耶姫命 参明東開山
大山都美命 亀巖大神
(裏)明治三十二年秋彼岸建之
161x85x30

 (B)北杜市明野町浅尾745
35.795896, 138.449619



彦火瓊々杵命 小御嶽大神
参明藤開山 木花開耶姫命
大山祇命 亀岩大神
北口丸文講
明治四十四年九月二日
裏面:22人の名簿
H=138

 (C)北杜市須玉町大蔵(山崎山山頂)
35.786775, 138.428137

明治十八年第二月十七日
彦火瓊々杵命
木花開耶姫命
大山津見命
北巨摩郡穂足村
三井幸次郎建立
74x41x14

(D)北杜市明野町下神取730
35.781123, 138.435593


上部:富士笠印(大我講)
彦穂瓊々杵命 小御嶽大神
木花開耶姫命 参明藤開山
大山津見命 亀巖大神
明治十七年申年五月七日
H=160

 (E)北杜市明野町浅尾新田3871
35.782545, 138.439370


上部:富士笠印
彦火瓊々杵命 小御嶽大神
木花開耶姫命 参明藤開山
大山祇命 亀嶽大神
H=157

(F)北杜市明野町上手2008
35.755994, 138.436173



浅間社
文政三辰八月建之
願主八人
H=122


亀岩大神
藤森稲荷大神
文政三年八月
鳥昌氏岩水
H=75


上部:日輪、月輪、富士笠印
瓊々杵命 文政三年八月
木華開耶姫命
大山祇命
H=98


 大天狗
小御嶽大神
 小天狗
文政三年八月
H=75


丸文講の勢力エリア(想定)

※参照
富士講碑ー北杜市須玉町比志
富士浅間神社-北杜市須玉町江草